ORIZI Group · 業界データ分析

マレーシアの化粧品市場をNPRA届出データで分析:届出242,678件・製造業者481社(2026年)

政府オープンデータの全化粧品届出と承認済み化粧品製造業者リストから見る、市場の規模・新しさ・集中度と、実際に製品をつくっている企業。

NPRA化粧品届出242,678件から見るマレーシアの化粧品市場
執筆・調査:Creaton Poh(ORIZI Group創業者、ブランド・事業戦略)・技術協力:ORIZI Group 研究開発チーム・ファクトチェック:ORIZI Group 編集部・発行:ORIZI Group・最終確認:2026年10月
開示:本記事はORIZI Groupが発行しており、当社の製造経験・サービス・能力に言及する場合があります。外部の事実に関する記述には出典を示しています。本記事で分析したデータには、ORIZI Groupのグループ会社であるDr Orizi (M) Sdn. Bhd.が承認済み製造業者の1社として含まれています。
クイックアンサー:マレーシアの化粧品届出は、2026年9月27日時点の政府オープンデータで242,678件、承認済み化粧品製造業者の記録は629件(481社)でした。市場は新しく、分散しています。届出の59.5%は2025年または2026年に初めて提出されたもので、届出者1社あたりの製品数の中央値は4件、承認済み製造業者が自社名で保有する届出は5.5%にとどまります。多くの製品は、ブランドオーナーが化粧品OEMメーカーと組んで市場に出しています。

この記事のポイント

NPRAの化粧品オープンデータには何が載っている?

マレーシアのオープンデータポータルdata.gov.myにある2つのデータセットは、マレーシア国家医薬品規制庁(NPRA)のQUEST3+システムにある行政記録をそのまま複製したもので、毎日更新されています。当社は2026年9月27日に両方をダウンロードし、チェックサムを記録したうえでPythonで分析しました。

データセット 1行の内容 行数 項目
Notified Cosmetic Products(届出済み化粧品) 製品の届出1件 242,678 届出番号、製品名、届出者、届出日
Approved Manufacturers of Cosmetic Products(承認済み化粧品製造業者) 承認済み製造業者の記録1件(同じ企業が複数回登場する場合あり) 629 企業名、州、郵便番号、電話番号、住所

出典:data.gov.my(ファイルの最終更新日2026年9月27日、同日取得)。

数字を読むための定義は3つです。化粧品届出(cosmetic notification)とは、化粧品をマレーシア市場に出すことを認めるNPRAの記録です。NPRAのマレーシア化粧品管理ガイドライン(Guidelines for Control of Cosmetic Products in Malaysia)によると、有効期間は2年間です。化粧品届出者(CNH)とは、製品を市場に出す責任を負う、マレーシア国内で設立された企業です。NPRAは、届出者が製品のオーナーである場合もそうでない場合もあるとしています。承認済み化粧品製造業者とは、本データセットでは、有効なライセンスを持つ化粧品製造業者としてNPRAに掲載された企業です。届出ファイルには製造業者の列がありません。各製品の責任者はわかっても、製造元はわからない仕組みです。

マレーシアで化粧品を販売するには、このNPRA届出が前提になります。届出の手続きはNPRA届出・登録ガイドで解説しており、当社で製造する製品の届出は薬事・規制対応チームがサポートします。

マレーシアの化粧品届出は何件?

2026年9月27日時点で、届出ファイルには242,678件の記録があり、企業名を標準化(大文字化し、スペースと句読点を除去)すると7,486社が保有していました。届出番号のNOTに続く4桁は、初回提出の年と月を表します(NOT26…は2026年)。2025年または2026年の番号を持つ届出の99.8%で、この年月がファイル上の届出日と一致したため、各製品の時期は届出番号で判定しました。

初回提出 現在も有効な届出 割合
2026年(1月1日〜9月27日) 61,601 25.4%
2025年 82,794 34.1%
2024年 37,055 15.3%
2023年 21,763 9.0%
2022年 12,876 5.3%
2021年以前(2010年まで) 26,588 11.0%

年は届出番号から判定。届出番号のない1件はこの表から除外しています。

マレーシアの化粧品届出の大半は最近のもので、有効な届出の59.5%が2025年または2026年に初めて提出されています。新規提出のペースは安定しており、2025年に初回提出されて現在も有効な届出は月平均約6,900件、2026年1月〜8月は月平均6,933件です。届出は2年ごとに更新しないと失効するため、2023年より前の件数が少ないのは、成長だけでなく入れ替わりも反映しています。

マレーシアの承認済み化粧品製造業者は何社?

承認済み化粧品製造業者は、記録629件・企業数481社です。製造業者ファイルは629行で、1行は企業ではなく承認記録です。拠点や住所が複数ある企業は、最大4回登場します。629行の企業名の表記は508通り、大文字・小文字を区別しないと502通り、スペースと句読点を除くと481通りで、これを当社の企業数としています。1回だけ登場する企業が364社、2〜4回登場する企業が117社で、11社は複数の州に記録があります。

州 製造業者の記録数 記録の割合 企業数
セランゴール州(Selangor) 269 42.8% 206
ジョホール州(Johor) 69 11.0% 54
ペナン州(Pulau Pinang) 69 11.0% 55
ケダ州(Kedah) 65 10.3% 47
クアラルンプール(W.P. Kuala Lumpur) 44 7.0% 34
ペラ州(Perak) 31 4.9% 25
ヌグリ・スンビラン州(Negeri Sembilan) 20 3.2% 18
クランタン州(Kelantan) 19 3.0% 16
マラッカ州(Melaka) 16 2.5% 12
サバ州(Sabah) 6 1.0% 6
トレンガヌ州(Terengganu) 6 1.0% 5
パハン州(Pahang) 3 0.5% 3
サラワク州(Sarawak) 3 0.5% 2
プルリス州(Perlis) 1 0.2% 1
州の記載なし 8 1.3% 8
合計 629 100% 481

州別の企業数の合計が492社になるのは、11社が2つの州に登場するためです。

化粧品製造はクランバレー周辺に集中し、ジョホール、ペナン、ケダに第2の集積があります。セランゴール州だけで承認済み製造業者の記録は269件あり、次の4州の合計(247件)を上回ります。

マレーシアの化粧品届出を保有しているのは誰?

届出の保有は、少数の大口保有者に集中し、その後ろに多数の小口保有者が長く続く分布です。届出者1社あたりの届出数の中央値は4件、平均は32.4件で、少数の大口保有者が登録簿の大部分を占めているためです。

届出者1社あたりの届出数 届出者数 届出者に占める割合 届出数 届出全体に占める割合
1件 1,961 26.2% 1,961 0.8%
2〜5件 2,377 31.8% 7,478 3.1%
6〜20件 1,810 24.2% 19,446 8.0%
21〜100件 966 12.9% 42,424 17.5%
101〜500件 290 3.9% 57,842 23.8%
500件超 82 1.1% 113,527 46.8%
合計 7,486 100% 242,678 100%

上位75社(上位1%)が全届出の45.3%、上位10%が80.9%を保有しています。反対側では、1,961社が1製品のみを保有しています。新しいブランドにとって現実的な出発点はここで、まず1〜5製品から始め、売れる製品形態が見えてから拡大する形です。立ち上げの流れは自社ブランド化粧品の作り方で解説しています。

化粧品の届出は工場とブランドのどちらが保有している?

多くはブランド側です。標準化した名称で照合すると、承認済み製造業者481社のうち298社が自社名で1件以上の届出を保有し、その合計は13,241件、登録簿全体の5.5%でした。残りの94.5%は、承認済み製造業者リストに載っていない企業、つまりブランドオーナー、販売代理店、輸入者、マーケティング会社が保有しています。NPRAのガイドラインもこれを想定しており、届出者が市場での製品に責任を負い、別の受託製造業者が製造することがあります。これはプライベートブランドの背後にいる製造業者(英語)で紹介しているモデルです。

そのため、公開ファイルだけでは製品の製造元はわかりません。製造業者が表示されるのは、NPRAのQUEST3+製品検索で1件ずつ照会したときだけです。

どのカテゴリーの化粧品が多い?

最も多いのはスキンケアで、届出全体の29.6%(71,834件)を占めます。登録簿には製品カテゴリーの項目がないため、当社は製品名をキーワード(例:SHAMPOO、SPF、LIPSTICK、EAU DE PARFUM)で分類し、各届出を1回だけ数えるよう固定の順序で判定しました。これは近似値であり、NPRAの公式の化粧品カテゴリー一覧とは異なります。ブランド名と色番号だけの名称は未分類のまま残り、CREAMやGELといった一般的な語はスキンケアに分類されます。

製品グループ(キーワード分類) 届出数 割合
スキンケア(顔用・全身用のクリーム、ローション、美容液) 71,834 29.6%
アイ・フェイスメイク 44,232 18.2%
ヘア・頭皮ケア 23,012 9.5%
フレグランス 22,176 9.1%
リップ製品 20,453 8.4%
ボディ洗浄料・石鹸 11,438 4.7%
ボディ・ハンド・フットケア 9,028 3.7%
サンケア(SPF入りメイクを含む) 7,291 3.0%
オーラルケア 2,437 1.0%
ネイルケア 2,115 0.9%
デオドラント・制汗剤 1,827 0.8%
ベビー・キッズケア 1,542 0.6%
デリケートゾーン・フェミニンケア 624 0.3%
未分類(ブランド名・色番号のみ) 24,669 10.2%

ORIZI Groupによる製品名242,678件のキーワード分類(各1回のみ計上。オーラルケア、フレグランス、サンケアのキーワードを先に判定)。

リップとアイ・フェイスメイクを合わせると、メイクアップは64,685件・登録簿の26.7%となり、見た目以上に大きな分野です。フレグランス(9.1%)は、ヘアケア(9.5%)とほぼ並びます。主なフレグランスの形態はEDP・EDT・ボディミストの比較ガイド(英語)で比較しています。製品名からは成分のトレンドも見えます。届出名に「serum(美容液)」を含むものが11,707件、「brightening(ブライトニング)」が3,717件、「collagen(コラーゲン)」が2,178件、「hyaluronic(ヒアルロン)」が1,845件、「centella」または「cica」が1,325件、「niacinamide(ナイアシンアミド)」が954件、「retinol(レチノール)」が764件です。

マレーシアの化粧品の製造元を確認するには?

届出番号をNPRAのQUEST3+で検索すると、届出者と製造業者を確認できます。手順は次のとおりです。

  1. 製品パッケージや販売ページで届出番号を探します。番号はNOTで始まります。
  2. 番号または製品名をNPRAのQUEST3+で検索します。結果に届出者と製造業者が表示されます。
  3. その製造業者が、data.gov.myの承認済み製造業者リストに載っているかを確認します。
  4. 工場にGMPの証拠と、必要に応じてJAKIMハラール証明書の提示を求めます。各書類の対象範囲はNPRAの化粧品GMPとISO 22716の違い(英語)で解説しています。

公的な登録簿で工場の実在を確かめる手順全体は、マレーシアのOEM工場の確認方法にまとめています。

ORIZIの視点:データから見える1つの工場の姿

ORIZI Groupの化粧品・パーソナルケア工場であるDr Orizi (M) Sdn. Bhd.は、化粧品GMP(NPRA)を2024年から取得しており、承認済み製造業者ファイルには3件の記録があります。QUEST3+で製造業者名を検索すると、Dr Oriziを製造業者とする届出が一覧で表示されます。どの工場が製品を製造しているかは、この方法で誰でも確認できます。工場のコンプライアンス体制は、2026年NPRA GMPサーベイランス監査の報告(英語)で紹介しています。

当社自身の記録から得られる2つの教訓は、どの工場にも当てはまります。1つ目に、届出者の数は顧客の数ではありません。届出者がグループ会社であることもあり、工場の自社名義の届出が顧客ブランドのものである場合もあります。2つ目に、購入者にとって意味のある問いは、工場が何製品を持っているかではなく、検討中の製品に近いものをつくっているかどうかです。これはQUEST3+で製品ごとに確認できます。当社はこれらの件数を選別と説明のためにのみ使い、製造業者の順位付けには使いません。

注意点・よくある誤読

よくあるご質問

マレーシアで登録されている化粧品は何件?

2026年9月27日時点のマレーシアのオープンデータでは、化粧品届出の記録は242,678件でした。マレーシアの化粧品は「登録」ではなくNPRAへの「届出」制で、リストに残るには2年ごとに届出を更新する必要があります。

マレーシアの化粧品製造業者(工場)は何社?

data.gov.myにあるNPRAの承認済み製造業者ファイルには、2026年9月27日時点で629件の記録があり、重複する名称を統合すると481社でした。拠点や住所が複数ある企業は、複数回登場します。

マレーシアで化粧品工場が最も多い州は?

セランゴール州で、承認済み化粧品製造業者の記録629件のうち269件(42.8%)、企業数は206社です。次いでジョホール州とペナン州が各69件、ケダ州が65件です。

マレーシアで届出の多い化粧品カテゴリーは?

当社のキーワード分類では、スキンケアが29.6%で最も多く、アイ・フェイスメイク(18.2%)、ヘア・頭皮ケア(9.5%)、フレグランス(9.1%)、リップ製品(8.4%)が続きます。リップとアイ・フェイスメイクを合わせたメイクアップは26.7%です。

新しい化粧品ブランドは何品目から始めるのが目安?

データ上の現実的な出発点は1〜5製品です。届出者1社あたりの届出数の中央値は4件で、届出者の57.9%は5件以下、1,961社は1製品のみを保有しています。

NPRAの化粧品届出者は製造業者でなければならない?

いいえ。化粧品届出者は製品を市場に出す責任を負うマレーシアの企業で、NPRAは届出者が製品のオーナーである場合もそうでない場合もあるとしています。2026年9月のスナップショットでは、承認済み製造業者が自社名で保有する届出は5.5%のみでした。

NPRAの化粧品届出の有効期間は?

2年間です。NPRAのマレーシア化粧品管理ガイドラインは化粧品届出の有効期間を2年間と定めており、届出者が更新した場合にのみ、製品は登録簿に残ります。

参考資料

更新履歴:2026年10月12日 — 日本語版を公開(英語版2026年10月12日公開記事をもとに日本語読者向けに再構成)

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